反対尋問に崩れず供述する方法

 In Litigation, Litigation Support Processes, 日本語ポスト

質問を良く聞く。自分の知識で返事ができる否か。(供述に備えて習得した知識も含め)聞かれていることについて覚えているか否か。返事をする前に間を置き、弁護人に異議を唱える時間を与える。正直に答える。答え終わったらそれ以上しゃべらない。

例えば、「御社は栃木県にいくつ工場があるか」と尋問された場合には、「一つある」と答える。「一つあるが、同業他社に売却される噂ある。」とか「一つあるが、そこでは何も製造してない。」とか「一つあるが、最近工場長が解雇されたようだ」など、聞かれていないことまで答えない。

また、仮定的な尋問には注意が必要だ。例えば、「もしあなたの会社の製品を使用し、事故に遭い死亡した人が一人でもいたら、その製品をリコールするか?」のような仮定的な尋問は、事件を取り巻く様々な要因によって回答が多様化し、正確には答えられないため、弁護人が異議を唱える可能性が高い。(製品と事故には因果関係があるか、使用者が意図的に死亡したか、注意書きを無視して危険な使い方をしたかなどによって回答が変わる。)

こちらが答え終わった後、よく相手側弁護人がジーッと証言者を見つめ何も言わないことがある。これは心理作戦なので注意が必要だ。沈黙が続くと不快に感じ、不必要に証言を付け足してしまう証人が多い。
記憶が曖昧で答えられない場合に、何か言わないと悪いと思い、憶測的な答えを出すということがよくある。憶測は根拠のある推定とは違う。例えば、「あなたの目の前にある机の横幅は何センチ位か」という質問を受けたとしよう。これは、証言者の目の前に机があるため、根拠のある推定が可能と考えられる。しかし相手側弁護士が「私の事務所にある机の横幅は何センチ位か」と質問した場合、証人がその机を見たことがない限りは憶測でしか答えられないため、この回答は根拠のないもので不適切な回答と言える。