企業供述(供述者の選択や事前準備)

 In Litigation, Litigation Support Processes, 日本語ポスト

企業の代理証言ということで、幹部や管理職を選任すべきと思われがちであるが、決してそのようなことはない。会社幹部が必ずしも事情に精通し、的確に供述できるとは限らないからである。また幹部を供述者とした場合、不要に貴重な時間を費やすだけでなく、マスコミなどの注目を必要以上に浴びてしまう恐れさえある。

したがって、技術的な証言の場合は設計者を、金銭的な項目なら経理担当者をといったように、通知の項目に精通している者を供述者として選任することとなる。また場合によっては、項目の内容ごとにそれぞれ二人以上の供述者を選任することもある。

しかし、通知項目について精通している者がいない、もしくはいたとしても何らかの理由で不適切だと思われる場合には、企業の関連書類等を考察したり、当時の事情に詳しい人物から話を聞くなどして、通知内容に関する必要な知識を取得し、企業を代表する証言が的確に出来るよう準備を整えることになる。

また、稀なことではあるが、従業員の中に通知項目に精通し、尚且つ的確な証言ができる者がいない場合、専門家等の外部者を選任し、供述できるよう準備することもある。供述者選任の基準はおよそ次の通りである。まずは、通知項目を熟知し詳細に渡り証言できる人物、追及されても動じない者、率直ながらも必要以上に喋らない者、そして、細かいことだが、癖が少なく愛想や見た目が悪くない人物を選任する。

まず、企業側弁護人が当該事件の背景も含め、どのような点が追及されるのか、どのような書類について質問されるのかといったことを、企業クライアントに具体的に解説する。
それに対しクライアント側では、弁護人と相談しながら、上記2で述べたように供述者候補を検討し、必要資料を収集する。(多くの場合開示済みの書類を参照) 供述者が決定したら、供述者を通常の職務から解放し、準備に専念できるよう企業側が取り計らう必要がある。

また、関係者から話を聞く場合には、法務部を通した方が、時間的に効率よく準備を進めることができる。

以上で企業供述の大筋は分かっていただけたと思う。言うまでもなく、個々のケースにより臨機応変に対応することが必要であるが、少なくとも上記の点を押えておけば、今後の企業供述にあたり、心構えができるのではないだろうか。

Originally published by Rich Young on http://nichibei-kakehashi.blogspot.com